みちのく便り 3日目

 えぼし荘の朝5時、太陽が目前に広がる海から登ってくるのを初めてこの場所で拝し、感慨深いものがありました。

 今日の予定の海水浴は、良い日和になりそうで、本当に良かったです。昨夜は運良く夜空の星も観察できて、満足気に帰ってきましたから、ぐっすり眠れたでしょう。

 7時に朝食です。全員元気に集合して、バイキング形式で朝食を食べましたが、それぞれのメニューを見てその違いに、おもしろいなーと感じました。

 今日は三陸観光という、久慈市にある会社からバスを配車してもらいました。長い長いお付き合いで、こちらも安心してお願いしています。天候や子ども達の体調などの諸々の都合で行先を急遽変更するなど、わがままを聞いてくださり、いつも短い滞在時間を有効に活用することができます。

 3年振りに久慈市の小袖海岸の方に向かいました。リアス式海岸の素晴らしい風景を見ながら移動し、小袖海女センターに立ち寄って少し見学した後、舟渡海水浴場に到着しました。

 この舟渡海水浴場はすぐ近くにボランティアの方がやっている海の家があり、無料でシャワーも貸してくださっていて、2~3名の監視員の方々も見ていてくださり、遊泳エリアも天然のいわばで囲まれていて、コンパクトですが安全に作られていますので、児童が安全に楽しめる環境があり本当に感謝です。

 天候にも恵まれ、適度に雲もあり暑すぎず寒すぎずの気温でした。私たちが到着した9時30分頃はほぼ貸し切り状態でした。そして更にありがたかったのが、干潮で水かさが減っていて、岩にとっつくコンクリートの渡場があるのですが、水が少ないため低学年も自由に昇り降りができ楽しそうでした。程よく休憩を挟みながら1時間半ほど遊んで、神奈川では味わえない自由な海水浴になりました。

 11時30分頃に海の家のシャワーをお借りし、着替えをして、室内の板の間で昼食を食べました。昼食はえぼし荘で作っていただいたおにぎり2個(鮭、梅)と、海の家で買ったかき氷です。無料の施設なのでお世話になる時は毎回お金を使うようにしています。

 その後野田村に戻り、私の母の生家に立ち寄りました。そこでおやつとしてキュウリをご馳走になり、氷水で冷えたキュウリに味噌をつけていただいたのですが、皆美味しい美味しいと言って食べ、中には4回おかわりした子もいました。「昔はこれがおやつだったのよー。」と声をかけると、「昔の人は良いなー。」と言った子がいて、今はお金を出せば好きなお菓子を買える時代に、考えさせられる発言でした。その家には93歳の叔母が住んでおり、母の生家に嫁いできた人で、「頑張れ、頑張れ」と励まし育ててくれた方でした。その後も私と血縁関係には無いのですが、私が今も「母ちゃん」と呼ぶ96歳の方とも会う機会がありました。私を温かく、優しく、認めて励ましてくれた方でした。またその後も、私の本家に嫁いできた80代半ばの方と会う機会があり、この方も私の境遇を知って優しく頑張れと励まし育ててくれた方なのですが、子ども達に紹介することができました。

 一緒に行った子ども達に、私を育ててくれた故郷のことや、私のルーツ、育ててくださった方々への感謝の気持ちを感じてほしかった。祖先があって自分がいること、それを知ったうえで自分を大切にすることを、言葉だけではなく、行動で教えたくて紹介したのですが、伝わったでしょうか。

 その後津波で流された跡地にできた「のんちゃんパーク」という、役場の近くの芝生広場と遊具がある公園で50分程度遊びました。適度に風も吹いて涼しく、思い切り走って遊んで、良い精神開放になったのか大喜びでした。

 ちょうど「のんちゃんパーク」から帰ろうとバスに戻ろうとしたところ、村議会議員選挙の選挙カーが駐車場に入ってきて、その候補者も私の大本家の親戚だったため、子ども達に紹介し、ルーツについて生きた教材として示すことができたかなと思います。

 16時過ぎにえぼし荘に戻り、入浴して18時に夕食。その後のミーティングでは、海水浴や公園で遊んだことが楽しかったことが、しおりに書かれた感想で伝わってきました。やはり疲れもあるのでしょう。消灯の時間になるとみなぐっすりでした。

 明日は岩手で過ごす最終日。どんな一日になるのか楽しみです。

園長 米田記