みちのく便り 四日目・五日目

 この日も天気に恵まれ、快晴の朝でした。メンバーは変わりましたが、昨日と同様に川で顔を洗い、布団を片付け、朝食の準備をしました。

 その後は私の母の実家に寄ってから、久慈市越中の海水浴場に向かいました。

 朝の10時前でしたが、既に10数人の家族連れが遊んでいました。海水浴場から道を挟んで反対側の海の家に、昨年もお世話になったおじさん、おばさんは元気かなー気になりながら伺うと、30~40代の若い男性がいて、「管理者が変わったんですよー。僕も野田出身なんです。」と話が弾み安心しました。

 子ども達は準備をして下の海に降りましたので、後から付いて行ってテントの中にいる監視員3名に挨拶をしに行くと、「ゆっくり遊んで行ってください。」と快く迎えてくださりホッとしました。波がかなり引いていて、海水浴場を囲っているコンクリートのブロックまで楽に渡っていけました。皆最初は海水の冷たさにワーワーキャーキャーと大盛り上がりでした。

 泳ぎはプールより難しいらしく、磯遊びが多くワカメや昆布を採ったり、貝やカニを探して遊んだり、岩山によじ登ったりして思い思いの遊びをしていました。私は砂浜に座って監視員です。

 昼食は砂浜に全員で座って、海を眺めながら苫屋で自分で作ったおにぎり、えぼし荘に泊まった子ども達は握ってもらった大きな2個のおにぎりを皆で分け合って食べました。

 海から上がる際に、福原さんから、私たちが私の母の実家に立ち寄っている間に、昨日ホタテを食べていない子たちのために魚屋に寄って、食べやすいように割ってもらい発泡スチロールに氷を入れて持ってきてくださいました。苫屋の坂本さんからまな板代わりに牛乳パックをもらってきていたので、砂浜でクッキングです。貝柱、貝ひもを私のナイフで切って手の平に渡してあげると、「ヒモ!ヒモ!」と初めて食べたらしい貝ひもが美味しかったようで、最高の時間でした。こんなこと初めてでしたが、本当に美味しかったです。海の家でシャワーを浴びて着替えをしますが、「パンツがない。あれがないこれがない」と職員達は大変でした。子ども達はかき氷、職員達はアイスコーヒーでしたが、大郎先生に後で「僕もかき氷が食べたかった」と言われて皆で大笑いしました。海の家の代金はこのかき氷とアイスコーヒーのみで、本当に助かります。お礼を言って隣の駐車場で待っているバスに向かうと、海の家の従業員の方々に、「大変だなー、凄いなー、気を付けて!」と労いの言葉を頂き、見送ってもらいました。1~6年生まで本当に大変です。

 13時過ぎに海水浴場を出発して、葛巻高原に向かいました。高原の売店は貸し切り状態で、子ども達もゆっくり最後の買い物をして、その後最後のソフトクリームを食べました。やはり牛乳が新鮮なので、最高の味でした。広々とした牧場には、白黒のヤギや馬が放牧されていて、見渡す限り緑が広がり、別世界のようで癒される場所です。子ども達はアスレチックや小動物と戯れ遊び、本当に解放されて好きな場所へ飛んで行くようでした。3時過ぎに葛巻高原を後にして、「喜盛の湯」に向かいました。またバスの中では休憩時間です。盛岡市内の初めての温泉で大きな施設でした。お風呂も沢山ありましたが、8時にはここを出なければならず時間が限られていたため、全てを堪能とまではいきませんでした。ここでも2手に分かれて、入浴と食事を交互に取りました。これ又夕食がカレーライスで、私は3日間夕食がカレーになり少々うんざりでした。子ども達はカレーが好きですが、そうは言ってもバランスが悪く、意外な旅食事でした。恩師の国安先生が来てくださり、子ども達にもお土産を頂きました。この旅を発案してくださり、私をここまで育てて見守ってくださった恩師に心から感謝です。

 仙台に向けてバスは同じですが運転手さんが変わり、20時過ぎに喜盛の湯を発ちました。仙台駅に22時過ぎに着き、これから23時55分までとうしようかと悩んでいたら、運転手さんが「車は停められますから、出発の時間まで寝ててください。」と仰ってくださり、仙台駅前の夜は無料で10台ほど停められる、大型バスの駐車場で停まってくださったので本当に助かりました。私と同年代くらいの運転手さんで、車の点検から私たちの乗る夜行バスの乗り場を下見まで、安全を考えて動いてくださっているのが良く分かり、故加藤運転手さんを彷彿とし、心の中で手を合わせました。「海老名の孫達を頼む。」と言って亡くなられた心が、運転手さん達につながっていることに感動と感謝でいっぱいでした。後で社長に伺うと、「そうなんです、仕事ではなくやってくれる人ですよ。」と言われて、大切な命を預かって来ている私にとって一番の応援団であると感じています。

 フジクラドライブ社と出会うまでは、この旅も夜行バス、路線バスを乗り継ぎ、三陸鉄道で野田へと向かう大変な行程でした。今は夜行バス、フジクラドライブ、三陸観光の3社のみで移動することができ、神奈川、岩手を大勢の児童を引率して安全な旅ができます。この3社をつなぐ紹介も盛岡の恩師の国安先生が導いてくださいました。

 2日目の朝に仙台駅に到着した時と同じ場所に降ろしてくださり、無事に夜行バスに乗り帰路につきました。皆疲れてはいますが、元気でした。新宿バスタに朝の5時頃着、福原さん一人が降車、冬までの別離をして、海老名へ向かいました。途中トイレに行きたい子どもが10人くらいいましたので、運転手さんに頼むと、停めてくれたのは何と横浜のランドマークタワーの真下で驚きました。乗客は私たちだけだったのでそれもできたのでしょう。海老名のバースルに着いた時は、青空が広がっていて本当にほっとしました。ご両親にお子さん達を引き渡して旅の終わりです。全行程天気に恵まれて、体験させたいこともほとんどできて、ケガも無く、最高の旅でした。

米田記