家庭での子どもとの過ごし方

 新型コロナウイルスの問題で、今まで毎日ヒヤヒヤしながら保育をしてきました。今のところ感染者が園児や保護者、職員から出ておらず、安堵しておりましたが、このような状態ですと今後どの様になっていくか、覚悟が必要になってきました。 

 先週から「感染が怖いので2週間自宅でみます。」といった方がいて、中には「保育園も危険なので、一旦仕事は辞めて家でみます。」と退園された方もいました。保育園は集団生活ですので、3密の危険が伴います。高熱が出て保健所に問い合わせても検査をしてもらえず、病院からも帰されたという方もいるそうで、その中でどの様に幼い命を守ったら良いのでしょうか。

 子どもは家庭での過ごし方の中で、「生きていく力」を学びます。保育園では集団の中でコミュニケーションの取り方を一番に学ぶ場所であると考えます。長年お預かりしていて、園へお迎えに来た保護者の顔を見ると、子どもの顔がパッと明るくなり、走って親元へ行きます。「早くお迎え来て良かったねー。」とこちらも共に喜びます。早く親と一緒に居たいのです。

 保育園は仕事で子どもを保育できない方々の場所で、私が出産した頃はこんなに恵まれていませんでした。50年前ですが、ベビーカーも紙おむつも無く、主人は海外、実家は遠方だった私は、常に出かける時は1人おんぶ、一人手を引き、1ヵ月位でノイローゼになりそうになり、遠い親戚を頼って助けてもらいました。

 子どもは家庭で「生きる力」を学ぶと書きましたが、教えてあげる事、共に行動して覚えさせる事だと思います。「一緒にやってみよう!上手にできたねー!」と褒めながら、掃除機のかけ方、玄関の靴の並べ方、ご飯支度の準備を一緒にやり、子どもがイライラして言う事を聞かなくなったら、環境を変えてみる事です。例えばシャボン玉を用意しておくとか、ベランダで花を植えて育てて楽しむとか、テーマを見つけてあげて、楽しみながら付き合う事です。それぞれのお子さんの特徴は、自分の子どもですから分かるはずで、一緒に居なければそれも見えません。親は一生子どもの責任を負っていかなければならないのですから、学校へ上がる前に留守番の仕方、家や自分を守る事も年長位になればできますので教えてあげてください。

 以前卒園生でこんな子がいました。お母さんが持病があり、病院に通うのにもついて行っていた1年生の男の子でした。買い物のため街に出た際に、お母さんが突然倒れてしまいました。周りに居た方々が救急車を呼んでくれたのですが、その男の子はお母さんのバッグから保険証を出して見せて、お母さんの携帯電話ですぐにお父さんに連絡したそうです。しっかりと3人の男の子を育てておいでで、感心させられました。育てればここまでできるのです。

 今育てていることが次の世代に繫がっていくのですから、真剣に子どもと向き合うことです。子どもの心に伝わらないから同じことを繰り返していきます。世の中が子ども中心に回っているのではなく、世の中の「決まり」を家庭の中で教えて育ててほしいと思います。保育園の様に危険の無い環境では教えられない事が沢山あります。コロナの「ピンチ」を「チャンス」と考えて、いずれは親から離れていく子どもに、しっかりと身を守り、周りと合わせて、自分が幸せになれれるよう、「生きる力」を身に付ける時間としてを大切に過ごし、家庭での保育を頑張ってほしいなと思います。