一枚の"書"皿


幼稚園教員養成所時代に華道の女の先生の
一枚のお皿に書を書いて記念に・・・という
華道の授業がありました。
国文学の先生でもあり 和歌・古典も教えて下さっていました。
私が作った作品の文章は 先生が誰かを選んで下さったと
記憶しています。
完成は円形のお皿で下地が黒い中に
『花を折りて人に与う。香り我が衣にみつ』沙枝(私の華号)
私の好きな言葉です。
若い時は引越も多くて 割ってはいけないと実家に預けてあり
お盆に帰るたびに姿が無かったのですが
ある時から今に飾ってあり(あら!まあ!)と思っていました。
私達三姉妹のうち 母は一番下の妹を一番可愛がっていました。
私と12歳違う妹で 母が出産した時 12歳であった私は
家事やおむつ洗いを手伝いました。
私は15歳で勉強したくて東京に出てきたので
長く一緒におり、自分の近くに嫁いだ妹がことさら可愛かったと思います。
亡き実父のお墓参りの為にお盆に帰省するたび
苦い思いをしながら 長女の立場・お墓を守る立場を貫き通しました。
義父が亡くなり これまた苦い思いをさせられて
(この家にはあと何回かしか来ないだろう)と
居間に飾ってあった”書”の皿をそっと持って帰ってきました。
義父の死後、一人暮らしになった母が
義父の新盆を迎え実家に帰った私に
「お前の作った皿がどこかへ行った。
どこを探してもない。お前 知っているか?」
と訊いてきました。
「ゴメン。私が持って帰った」
というと
「いやいや・・・家中を探したんだよ。
云ってくれれば良かったのに・・・」
と 淋しそうなホッとしたように言いました。
今日 4月8日は亡き母の誕生日です。
そして 花祭り。
桜がやっと咲きました。
仏前にケーキを供えて
「お誕生日おめでとう」
と手を合わせました。