21回 みちのく便り 平成30年7月26日

いよいよ帰りの朝です。
天気は晴れ、待望の海水浴も出来ます。

みんな、元気ですが、
夜咳をしていた子が数人いたので
検温したら平熱で安心しました。

まず、荷物発送の準備です。
朝食はバイキングでしたが
子ども達は思い思いに和食・洋食
と好きに食べていました。

私はその合間を見て『みちのく便り』書きです。
保護者の方々が案じておられるだろうと
元気な様子を早く知らせたいと、筆を執ります。

実際に、トイレも風呂もゆっくり入るという訳にはいかない旅の中
来客接待・会計も私がしなければならない事柄の中でも
絶対に子ども達から目を離しません。
外敵からも守らなければならないことは当たり前ですが
私は全員を一つとして考えて動いています。

「えぼし荘」を後にして
海岸線を走ると、海の素晴らしいこと。
今年の子達は全員、感動の心を言葉に出してくれて
私達もより楽しく旅が出来ました。
津波が来る前は、ここで海水浴をしたこと等を教えると
子ども達は皆驚いていました。
来年はこの場所で潮干狩りが出来たらいいな~と思いました。
海の幸がふんだんにあります。
アワビ・貝・ヒトデ・カニ・小魚・等々。
来年は虫かごも用意して行こうと思います。

野田駅に着いて、さあ、買い物です。
子ども達は生き生きとして
「妹に買う」「おじいちゃん、おばあちゃんに買う」
とほろりとする言葉もありました。

その動き回っている時に、電話が鳴り
出てみると「岩手日報の記者ですが、
○○さんから、岩手の旅が今年で最後だと聞いたので
30分程お時間いただけますか?」とのこと。
「いえいえ、また参ります。
今、帰路なのですみません。時間がなくて」
と丁寧にお断りしましたが
突然で驚きました。

買い物を終えて、海水浴へ向かいました。
海の綺麗なこと、波も無く、最高の太平洋でした。

途中、NHKの朝ドラ「あまちゃん」の記念館に向かうと
何やら賑やかで、聞くとマラソン大会だそうで
その取材の方々にカメラを向けられ、
「撮影しても良いですか?」と許可を求められたので
OKを出しました。
タウン誌の方だそうで、元気なおじいちゃんでした。

海岸線の海は、深いところまで澄んで見えました。
気温も30℃くらいで調度良い天候で
とめてある漁船の近くを通って、観察もしました。

バスを止めて降りたら
「大きなカメがいるから見に行って。」
と言われたので、帰りに寄ったら
全長1m以上のウミガメが漁の網にかかったそうで
水槽の中で悠々と泳いでいました。

そばでは、今朝採ったウニを
殻から出している作業をしている方々が大勢いて
忙しそうに手を動かしています。
カメよりそちらの方に興味を示して
じ~っと、見入ってる子もいました。

そこからバスで10分位で海水浴場ですが
リアス式海岸の素晴らしさを紺碧の海の色が
引きたててくれます。
まるで絵画の様で、子ども達も感動し通しでした。

海水浴場は空いていて、10人程の小さい子達のみでした。
岩手はまだ、夏休みに入っていないからでしょう。

そして、驚いたのは海水浴場に水がない!
一瞬驚きましたが、引き潮の時間でした。
いつもなら、子ども達の腰のあたりまである水位が
なんと、ひざ下なのです。

これでは泳げません。
子ども達には「今は引き潮で潮が引いてるから。
もうすぐ、潮が増してくるからよく見て」と話しましたが
子ども達の中で、以前来たことのある子達は気付き、
「ない!ない!」と浅瀬を走り回って楽しんでいました。

海の入り口にあるテントの中に監視員が2名いて
監視して下さるので安心です。

岸壁と築港の間に、砂浜から続いた大きな岩山は
子ども達も登ったり降りたり出来ます。
円形の調度良い大きさの入り江を作ってくれています。
その岩山と砂浜を囲むように石積みされて、
湾を作っています。入口は4mほど。
その湾に海水が入り、
小さな子ども達も遊べるようになっています。

また、その右側は深くなる手前までブイを浮かせて
人が出ないように、安全を図っています。

トイレは海水浴場のすぐそばにあります。
海岸線の県道を挟んで、向こう側に海の家があります。
そこのおばさんとも親しくなって、
気持ち良く私達を迎えて下さり、感謝です。

ここで「えぼし荘」で作ってくれたおにぎりを食べて
シャワーを浴び、かき氷を食べて
12時過ぎに出発しました。

この間、先ほど私に電話を下さった
岩手日報の記者の方が来られて、
「遠くからお子さん達を撮らせて下さい」
と、声をかけられました。

後日、盛岡の国安先生から
「海開きの写真と子ども達が載っていたよ。
あなた達かしらね?」
と、電話をいただきました。

砂浜に座っておにぎりを食べていると
潮が満ちてくるのがわかります。
「ほら!見てご覧!潮がどんどん満ちてきてるよ。
これが津波の原理だからね。」
と教えると
「ホントだ!どんどん増えてる!!
深くなってきた~!」
自然の成り立ちの良い勉強をしました。

1時間半かけて、葛巻高原へ。
その間、車中でお昼寝タイムです。
まず買い物とソフトクリームを食べました。
子ども達は最高!~と、大喜びで
その後は自由に。
2階位の高さの四方から登れるように工夫されているアスレチックに
みんな飛びついていました。

「1年生の女の子が怖がらずに
一人で上まで登り切ったのには感心した」
と引率して下さった福原さんから報告を受け
本人を誉めてあげました。

小動物、山羊、ウサギが自由に触れます。
反省会では「ウサギの赤ちゃんが可愛かった!
また、来年も来て、抱っこしたい」
と数人が言っていました。
親から数日離れて、淋しい気持ちをウサギが癒してくれたのでしょう。

盛岡に着いた時には小雨で見られなかった岩手山、姫神山が
対峙してとても良く見えました。
孫が小1の時に登った山です。
苦しみだけが残っているのではないかと思いました。

夕方に寄る「ユートランド」は
ここ数年休憩室がなくて、ロビーで反省会をしていましたが
今回は受付隣りの一室の会議室を空けて下さり
ゆっくり出来て、本当に有り難かったです。

ここでも虹の子の行儀良さが評価され
誉められています。
21年の伝統の賜物です。

私はやはり、食事代・お風呂代の支払いに動き回りましたが、
お風呂場の入り口に人数分のスリッパがきれいに並べられていて
驚きました。
後で、福原さんから「一斑の班長の男の子がそ~っと、
綺麗に揃えて並べてくれていて、感心しましたよ」
と、報告して下さり、みんなで
「えらい!」と拍手して褒め称えました。

陰でそっと『良いこと』出来る、気遣いが出来る、
是非、そうなって欲しいと願ってきました。

最期に職員達で決めた『賞』の発表です。

トップは何と言っても、
1人1年生で(兄妹で参加)先生方からも
本当にしっかりしていて驚いた
と、評価を受けた女子。

次は、一斑の班長で声を出してまとめてくれた4年生の男子。

まとめたで賞は、5年生の男子、4年生の女子の班長。

高学年の参加が無く、
4年生の4人の班長にもねぎらい賞をあげました。

翌朝、8時全員無事に海老名駅に着きました。

みんな、良くがんばってくれました。

今回天気にも恵まれて、
楽しい経験のてんこ盛りな旅で職員も
楽しかった、また、来年も参加したいと言ってくれています。

「苫屋」に行った時、
顔見知りのおばあちゃんと福原さんが話をしていました。
「そろそろ神奈川から子ども達が来る頃だ」と、
周りの草刈りをしたり、危険が無いようにして下さっていたことを
後から、報告いただきました。

私にも「がんばるね~。また、来年も来てね~」と
言って下さいました。

和佐羅比山(標高777m)下の
小さな部落に「苫屋」があり、子ども達もいません。

私達が行くと「よく来た。また来てね~」と
玄関先で私達を見送る、おじいさん・おばあさんがいます。

迎えて待っていて下さる方々がいるということは
本当に有り難いことです。

21回目の岩手の旅も終えましたが、
子ども達に支えられ、保護者の方々のご協力の中で
この活動が出来ます。

私達は子ども達と、4日間寝食を共にして
子ども達からたくさんの『宝』の時間をもらい
幸福な時間でした。

この体験が実生活で活きてくれることを
心から願っています。

ご協力ありがとうございます。

米田 記